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「ITって結局何?」に対する答え

 このブログでは、中小企業経営者(IT企業)が、中小企業経営者に向けて、知った気になれるITネタを発信しています。課題解決の気付きに、ここで発信するネタが少しでもお役に立てれば幸いです。ITをどんどん活用して、我々の手で豊かなニッポンを取り戻しましょう!!

 

 さて、初回となる今回は、「ITって結局何?」という、モヤっとした疑問にフォーカスしようと思います。

 

ITを知るには情報を知れ

 ITは Information Technology、即ち、情報技術です。コンピュータやネットワークを使った技術の総称であるとも言われますが、あまりにも漠然としていて、今一つ、パッとしませんよね。そもそも、「情報」という概念自体が漠然としているため、余計にモヤっとしてしまうのではないでしょうか。

 

 そもそも情報とは何でしょう。経営する上で情報は不可欠だと、殆どの方が仰るかと思いますが、すみません。経営を始めた頃の私は、何とも思っておりませんでした。というより、情報という概念を漠然としか認識できていなかったため、自分の生活や経営にとって、どのように重要であるかをイメージできなかった、という方が正しいかも知れません。何れにしろ、情報の何が重要であるのか、具体的に考えられなかった訳です。ですので、こんな記事を書き、バリバリのプログラマーシステムエンジニアプログラマーであるべきという固い信念を持っています)であった私ですら、「ITって結局何?」という質問を受けると、スッと腑に落ちる回答をできずにいたのです。しかし、「情報」という概念をハッキリさせ、「情報」を経営でどのように活かすのかをイメージできるようになれば、ITについて自分なりに、かなり明確なイメージを持てるようになることに気が付きました。そこで一度、そもそも「情報」とは何なのか、というテーマについて思いを巡らせてみる事にします。

 

情報はデータからやってくる

 「情報」に関して辞書を引いてみると、「情報とは、ある物事の内容や事情についての知らせである」というような事が書いてあります。これもこれで、モヤっとした内容なのですが、私は、ここにある「知らせ」という言葉が、大切なキーワードだと思っています。つまり、自分が何かを見たり、聞いたり、感じたり、味わったりして得た内容から、何か別の事を知るためのもの、それが「情報」という訳です。これを読んでいる皆様であれば、「風が吹けば桶屋が儲かる」話は、よくご存じではないでしょうか。

  1. 風が吹くと土埃が舞う
  2. 土埃が目に入って失明する人が増える
  3. 失明した人でも演奏してお金を得られる三味線がバカ売れする
  4. 三味線を作るために必要な猫が乱獲される
  5. 乱獲で猫が減るのでネズミが増える
  6. 増えたネズミが桶をかじって、桶がバカ売れする
  7. 結果、桶屋が儲かる

 とまあ、馬鹿げた話として取り上げられるネタではありますが、実はこれ、情報についてとても良く表現している話だと思っています。風が吹くと桶屋が儲かると信じている人は、風が吹く、という物事から、桶屋が儲かる、という知らせを受け取っている訳です。つまり、風が吹くという物事から取り出した、「桶屋が儲かる」という知らせが、情報という訳です。

 ここで1つ、注目すべき点があります。風が吹けば桶屋が儲かると思っていない人が、風が吹く、という物事を見たらどうなるでしょう。当然、そこから「桶屋が儲かる」という知らせを受け取る事はありません。つまり、物事から情報を取り出すためには、数々の経験や知識が詰まった、人の知能(AIも同じ)が必要であり、更に、その知能の性質によって、取り出せる情報が異なってくる、という点です。平たく言えば、物事の受け手によって、取り出せる情報が異なってくる、という事です。

 情報処理界隈では、情報を取り出すために必要となる物事を「データ」と呼びます。よく「データが全て」と言いますが、実の所、このデータからどんな情報を引き出すかが重要であり、データそのものが重要という訳ではない、という事は、風が吹けば桶屋が儲かるの話から察しがつく事実です。たとえ良質なデータが沢山あっても、それを処理する知能がポンコツでは、何の役にも立たない、という訳です。

 

 さて、情報についての理解が深まった所で、再び「IT(情報技術)」について、思いを巡らせてみましょう。

 

大量データを瞬時に処理

 その昔、まだパソコンが無かった頃を想像してみてください。日報は当然、手書き。毎日、何の商品が何個売れ、そして売上は何円となっているのか、そういったデータはすべて、手書きで残されています。そうした中、利益拡大を目指して1つの施策を実行する事としました。欲しがっている人に、欲しがっているモノを確実に届ける、それを徹底追及すること。欲しがっている人にだけ広告が届くようにすれば、広告費を削減できるだけではなく、確実に買ってくれるので、そもそも販管費を大幅に削減でき、売上まで大幅アップ。毎月の資金繰りに心を痛めることもない。夢のような施策です。

 そこで社長は、過去1年間において、どんな商品が、どんな人に売れているのか、という「情報」が欲しくなります。自社の虹色鉛筆が今、地元界隈の小学校高学年の女子でひそかなブームになっているという情報を得られれば、利益増大に向けて効果的な攻め方ができる筈です。そこで社長は社員に指示するでしょう。過去1年の日報を集計して、どんな商品が、どんな人に売れているのかわかる資料を作りなさいと。そして社員は絶望するのです。山のように積みあがった手書きの伝票を前に、一体、何をすればいいのか・・・と。

 それでも、社員は優秀でした。どの顧客に、何を何個売ったのか、電卓をたたいて集計し始めたのです。そして1ヶ月たったある日、社長の前に帳票が差し出されました。縦軸には顧客名、横軸には商品名、それが交差する列には1年で販売した数量が記されている。社員はやり切ったのです。しかし、それは、社長が満足するものではありませんでした。顧客名を見たところで、それがどんな顧客なのか、イメージできないのです。それは何歳なのか、どこに住んでいるのか、どんな趣味嗜好を持っている人なのか。購入したのは平日なのか、午前中なのか午後なのか・・・。良質な情報を得るためにもっと、もっと、データが欲しい・・・。きっと、そう考えた筈です。ですが、こうした欲求を満たすためには、社員に壮絶な労働を強いる事となるでしょう。

 

 さて現代に戻ると・・・。売上データと顧客データをExcelに取り込んで、様々な顧客属性でフィルタをかけてグラフ化して傾向を分析する・・・、なんて事は誰でもできるようになりました。これこそ、IT(情報技術)の成せる技なのです。人間の頭に収まり切れない膨大なデータを瞬時に処理できるようにした技術こそ、ITの神髄だと言えるでしょう。

 このように、大量のデータから、必要な情報を素早く取り出せるようになったのは、ITがもたらした恩恵の一つですが、全てではありません。コンピュータがインターネットにつながるようになると、大量データ処理に加えて、「コミュニケーション」という重大な要素が加わるようになりました。これにより、ITではなく、ICT(Information and Communication Technology) 情報通信技術という言葉が用いられる事も多くなっています。次回は、この「ITによるコミュニケーション」にフォーカスを当てていこうと思います。

 

ここで、結論。

 ITとは、

  大量のデータを瞬時に処理し、

   情報を引き出す事を助けるための技術である。

 

 如何でしたでしょうか。

 もやっとしていたITについて、少しでも分かった気になって頂けたでしょうか。

 

 これから、このような形でITネタを発信していきますので、ご愛顧のほど、よろしくお願い致します。