このブログでは、中小企業経営者(IT企業)が、中小企業経営者に向けて、知った気になれるITネタを発信しています。課題解決の気付きに、ここで発信するネタが少しでもお役に立てれば幸いです。ITをどんどん活用して、我々の手で豊かなニッポンを取り戻しましょう!!
さて、11回目となる今回は、パソコンやスマホを使っていると気になってしまう「ローコード開発 ノーコード開発」にフォーカスしようと思います。
プログラミング無しでアプリ開発できちゃいます!
これまで、パソコンやスマホのアプリを開発する場合には概ね下記のステップを踏む必要がありました。
- プログラミング言語を学ぶ
- データベースや通信等の必要な周辺技術を学ぶ
- アプリの設計と製造に関する技法を学ぶ
見た目はお手軽3ステップですが、スタート地点に立つだけでも数ヶ月は要しますし、実現したい事を取りまとめ、それを設計してプログラミングし、それをテストして維持していく・・・と言うシステム全体の営みを全てカバーするとなると、結構な歳月を要するのが常識でした。なので、プログラマーやシステムエンジニアといったIT技術者が、DX化が叫ばれる昨今、特に売れっ子になっている訳です。
つまり、コンピューターに何かさせるためには、専門的な知識と経験が必要な訳です。そしてその範囲は、それだけで職業として成立するほど、広く、そして深い。
これでは、業務を効率化するアプリのアイディアがあったとしても、実現することは難しいですよね。自分の業務に関係のないコンピューターの知識を1から習得して、ようやくアプリを完成させた所で、その頃は既に、業務の仕組みが変わっているかもしれないのですから。
コンピューターは本来、便利な道具であり、我々人間にとってもっと身近な存在となるべきです。
- えー!?こんな大量の文書から○○さんの購買履歴まとめるのメンドクサ!!
- 10,000人分の売上伝票、明日まで電卓で集計って・・・無理ですよね!?
といったような、人間がめんどくさく感じる仕事はどんどん、コンピューターに任せるべきなのです。
しかし、人間とコンピューターの間には非常に深い溝があり、お互いが意思疎通するためには、膨大な専門知識を身につけた上で、それなりの経験を積む必要がある。
その大きなギャップを埋める存在としてIT技術者がいる訳ですが、自分が思っている事を完全に汲み取ってコンピューターに伝えてくれる技術者は皆無ですよね?
大体はモノが出来上がってから
『これじゃ、ないんだよなぁ・・・』
となる場合が多いのではないでしょうか。
それに、『このアイディアは本当に、単価の高い技術者にお願いしてまで実現する価値があるものなのだろうか・・・』と、自らボツにしてしまっているケースも沢山あると思います。
せっかく百数十万円/月の技術者に依頼して、自分のアイディアがイケていない事を証明する事になってしまっては夜も眠れませんからね。
このような営みで、現在もビジネスの最前線で発生しているアイディアの数々が、デジタル化されずに失われている訳ですよね。なんとも、勿体ない・・・。
そこで登場するのが、『ローコード開発』、『ノーコード開発』という訳です。
『コード』とは、プログラミング言語で書かれたプログラムを指す業界用語です。
ですので、
- ローコード開発は、極力プログラムを書かないで開発する
- ノーコード開発は、プログラムを全く書かないで開発する
という事になります。
『おお、そりゃあ凄い!!』
『プログラミング無しだと、誰でも簡単にアプリ作れちゃうんだね!!』
という声が聞こえてきそうですが、『誰でも簡単に』という部分にフォーカスして、自社の業務システムにローコード開発やノーコード開発を採用すると、大きな失敗を被る事になりますのでご注意ください。
システム開発の難しさは業務プロセスの変更にアリ!!
プログラミングせずにシステム開発できるノーコード開発は、人間がコンピューターに指示を出すためのハードルを大幅に下げてくれる大変素晴らしい技術です。是非とも、この技術を活用して、自社を取り巻く業務環境をドンドン変革していって欲しいと願っています。
しかし、『誰でも簡単にシステムを作れる』などと謳われる事が多い事から、『誰でも簡単』という部分にだけフォーカスし、自社でノーコード開発プロジェクトを立ち上げた結果、社内が混乱に陥ってしまい、変更前よりも酷い状態となってしまうケースが散見されます。
結果、
『ウチはIT化なんて無理!!』
という強烈な失敗体験を抱いてしまう方が増えてしまう事は、大変、残念で仕方ありません。
これからノーコード開発の導入を検討されている方はもちろん、以前にノーコード開発の立ち上げに失敗してしまった方も、ぜひ今一度、『システム開発とは何なのか?』について思いを巡らせてみて頂きたいと思います。
システム開発というと、『パソコンやスマホで動くアプリを作る』という部分に目がいきがちですが、そうではありません。
『自社の業務プロセスを書き換えること』
これこそが、システム開発の本質なのです。
物凄く当たり前の事を言っていますが、多くの場合、この視点が置き去りにされ、誰もが『システムを完成させる事』だけを見てしまい、迷走していくプロジェクトを数多く目にしてきました。むしろ、このパターンの方が断然多いと言いたい位にです。
これからシステム開発を担当する方、または今実際に担当されている方は、是非とも、常に下記を意識しておくようにしてください。
- システムはあくまで手段であり完成はゴールではないこと
- システムを使った先にある未来をどう描くかを常に考え続けること
システム開発という営みを通じて、『自社業務を見直し、そして、人の手では実現しなかった新しいやり方を取り入れて最適化していく』事こそ、重要なのです。
つまり、プログラミングしようがしまいが、上記の視点がなければ必ずシステム化には失敗します。
『自社業務を見直してやり方を変える』事を『誰でも簡単に』できるでしょうか。
これは、否ですよね。
ですので、例え優秀なノーコード開発環境を導入したとしても、『業務を見直して変革する』事を意識しなければ、当然、失敗に終わる事はご理解いただけたのではないでしょうか。
さて、これをご覧になっている経営者の方にお願いしたい事があります。
中小企業において、自社業務を変革できるのは、社長である貴方しかいません。
『ITは分からないから・・・』
『パソコンは若い者に任せて・・・』
などと言っている問題ではない事、それは分かって頂けていると思います。
社長、是非、社員の皆さんと膝を突き合わせて、
『ICTのどんな機能を使えば、自社を取り巻く新しい未来をどのように描けるか』
について、社内で真剣に議論してください。ICTについて分からなければ、
「ウチでもっと、ICT活用しようとすると、どんな事できそう」
「それを入れると、誰が、どんな感じで喜びそう?」
などなど、どんどんファシリテートして意見を沢山すくいあげてください。
絶対に、貴社にしか描き得ない未来が見えてくる筈です。
その未来に向かって、社員のみなさんの力を合わせて、優勝に向かって練習に励む部活のように、活き活きと、日本の経済を発展させていって頂ければと願っています。
次回は、『Chat GPT』にフォーカスを当てて行こうと思います。最近何かと話題のChar GPTですが、いきなり正解を求めるような質問を出している例などが多く、その付き合い方について誤解を招くような事がありそうなので、私なりに考えた付き合い方をご紹介したいと思います。Chat GPTは言語モデルなので、正しくない場合もある、という事と、正しさを求めるのであれば、マシンラーニングという別のAIモデルを使う必要がある、というようなテーマでお話したいと思います。
ここで、結論。
ローコード開発,ノーコード開発とは、
プログラミング不要でシステムを開発できる技術だが、
システム開発の本質を補完してくれる訳ではない。
如何でしたでしょうか。
ローコード開発,ノーコード開発について、少しでも分かった気になって頂けたでしょうか。
これから、このような形でITネタを発信していきますので、ご愛顧のほど、よろしくお願い致します。