IT知ったかになれるブログ

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ローコード ノーコード開発? 誰でもシステム作れる!?

 このブログでは、中小企業経営者(IT企業)が、中小企業経営者に向けて、知った気になれるITネタを発信しています。課題解決の気付きに、ここで発信するネタが少しでもお役に立てれば幸いです。ITをどんどん活用して、我々の手で豊かなニッポンを取り戻しましょう!!

 

 さて、11回目となる今回は、パソコンやスマホを使っていると気になってしまう「ローコード開発 ノーコード開発にフォーカスしようと思います。

 

プログラミング無しでアプリ開発できちゃいます!

ノーコード開発

 これまで、パソコンやスマホのアプリを開発する場合には概ね下記のステップを踏む必要がありました。

  1. プログラミング言語を学ぶ
  2. データベースや通信等の必要な周辺技術を学ぶ
  3. アプリの設計と製造に関する技法を学ぶ

 見た目はお手軽3ステップですが、スタート地点に立つだけでも数ヶ月は要しますし、実現したい事を取りまとめ、それを設計してプログラミングし、それをテストして維持していく・・・と言うシステム全体の営みを全てカバーするとなると、結構な歳月を要するのが常識でした。なので、プログラマーシステムエンジニアといったIT技術者が、DX化が叫ばれる昨今、特に売れっ子になっている訳です。

 
 つまり、コンピューターに何かさせるためには、専門的な知識と経験が必要な訳です。そしてその範囲は、それだけで職業として成立するほど、広く、そして深い。

 

 これでは、業務を効率化するアプリのアイディアがあったとしても、実現することは難しいですよね。自分の業務に関係のないコンピューターの知識を1から習得して、ようやくアプリを完成させた所で、その頃は既に、業務の仕組みが変わっているかもしれないのですから。

 

 コンピューターは本来、便利な道具であり、我々人間にとってもっと身近な存在となるべきです。

  • えー!?こんな大量の文書から○○さんの購買履歴まとめるのメンドクサ!!
  • 10,000人分の売上伝票、明日まで電卓で集計って・・・無理ですよね!?

 といったような、人間がめんどくさく感じる仕事はどんどん、コンピューターに任せるべきなのです。

 

 しかし、人間とコンピューターの間には非常に深い溝があり、お互いが意思疎通するためには、膨大な専門知識を身につけた上で、それなりの経験を積む必要がある。

 

 その大きなギャップを埋める存在としてIT技術者がいる訳ですが、自分が思っている事を完全に汲み取ってコンピューターに伝えてくれる技術者は皆無ですよね?

 大体はモノが出来上がってから

 

 『これじゃ、ないんだよなぁ・・・』

 

 となる場合が多いのではないでしょうか。

 

 それに、『このアイディアは本当に、単価の高い技術者にお願いしてまで実現する価値があるものなのだろうか・・・』と、自らボツにしてしまっているケースも沢山あると思います。

 

 せっかく百数十万円/月の技術者に依頼して、自分のアイディアがイケていない事を証明する事になってしまっては夜も眠れませんからね。

 

 このような営みで、現在もビジネスの最前線で発生しているアイディアの数々が、デジタル化されずに失われている訳ですよね。なんとも、勿体ない・・・。

 

 そこで登場するのが、『ローコード開発』、『ノーコード開発』という訳です。

 

 『コード』とは、プログラミング言語で書かれたプログラムを指す業界用語です。

 

 ですので、

  • ローコード開発は、極力プログラムを書かないで開発する
  • ノーコード開発は、プログラムを全く書かないで開発する

 という事になります。

 

 『おお、そりゃあ凄い!!』

 『プログラミング無しだと、誰でも簡単にアプリ作れちゃうんだね!!』

 

 という声が聞こえてきそうですが、『誰でも簡単に』という部分にフォーカスして、自社の業務システムにローコード開発やノーコード開発を採用すると、大きな失敗を被る事になりますのでご注意ください。

 

システム開発の難しさは業務プロセスの変更にアリ!!

 プログラミングせずにシステム開発できるノーコード開発は、人間がコンピューターに指示を出すためのハードルを大幅に下げてくれる大変素晴らしい技術です。是非とも、この技術を活用して、自社を取り巻く業務環境をドンドン変革していって欲しいと願っています。
 

 しかし、『誰でも簡単にシステムを作れる』などと謳われる事が多い事から、『誰でも簡単』という部分にだけフォーカスし、自社でノーコード開発プロジェクトを立ち上げた結果、社内が混乱に陥ってしまい、変更前よりも酷い状態となってしまうケースが散見されます。

 結果、

 

 『ウチはIT化なんて無理!!』

 

 という強烈な失敗体験を抱いてしまう方が増えてしまう事は、大変、残念で仕方ありません。

 

 これからノーコード開発の導入を検討されている方はもちろん、以前にノーコード開発の立ち上げに失敗してしまった方も、ぜひ今一度、『システム開発とは何なのか?』について思いを巡らせてみて頂きたいと思います。

 

 システム開発というと、『パソコンやスマホで動くアプリを作る』という部分に目がいきがちですが、そうではありません。

 

 『自社の業務プロセスを書き換えること』

 

 これこそが、システム開発の本質なのです。

 

 物凄く当たり前の事を言っていますが、多くの場合、この視点が置き去りにされ、誰もが『システムを完成させる事』だけを見てしまい、迷走していくプロジェクトを数多く目にしてきました。むしろ、このパターンの方が断然多いと言いたい位にです。

 

 これからシステム開発を担当する方、または今実際に担当されている方は、是非とも、常に下記を意識しておくようにしてください。

  • システムはあくまで手段であり完成はゴールではないこと
  • システムを使った先にある未来をどう描くかを常に考え続けること

 システム開発という営みを通じて、『自社業務を見直し、そして、人の手では実現しなかった新しいやり方を取り入れて最適化していく』事こそ、重要なのです。

 

 つまり、プログラミングしようがしまいが、上記の視点がなければ必ずシステム化には失敗します。

 

 『自社業務を見直してやり方を変える』事を『誰でも簡単に』できるでしょうか。

 

 これは、否ですよね。

 

 ですので、例え優秀なノーコード開発環境を導入したとしても、『業務を見直して変革する』事を意識しなければ、当然、失敗に終わる事はご理解いただけたのではないでしょうか。 

 

 さて、これをご覧になっている経営者の方にお願いしたい事があります。

 

 中小企業において、自社業務を変革できるのは、社長である貴方しかいません。

 

 『ITは分からないから・・・』

 『パソコンは若い者に任せて・・・』

 

 などと言っている問題ではない事、それは分かって頂けていると思います。

 

 社長、是非、社員の皆さんと膝を突き合わせて、

 

 『ICTのどんな機能を使えば、自社を取り巻く新しい未来をどのように描けるか』

 

 について、社内で真剣に議論してください。ICTについて分からなければ、

 

 「ウチでもっと、ICT活用しようとすると、どんな事できそう」

 「それを入れると、誰が、どんな感じで喜びそう?」

 

 などなど、どんどんファシリテートして意見を沢山すくいあげてください。

 

 絶対に、貴社にしか描き得ない未来が見えてくる筈です。

 

 その未来に向かって、社員のみなさんの力を合わせて、優勝に向かって練習に励む部活のように、活き活きと、日本の経済を発展させていって頂ければと願っています。

 

 次回は、『Chat GPT』にフォーカスを当てて行こうと思います。最近何かと話題のChar GPTですが、いきなり正解を求めるような質問を出している例などが多く、その付き合い方について誤解を招くような事がありそうなので、私なりに考えた付き合い方をご紹介したいと思います。Chat GPTは言語モデルなので、正しくない場合もある、という事と、正しさを求めるのであれば、マシンラーニングという別のAIモデルを使う必要がある、というようなテーマでお話したいと思います。

 

ここで、結論。

 ローコード開発,ノーコード開発とは、

  プログラミング不要でシステムを開発できる技術だが、

   システム開発の本質を補完してくれる訳ではない。

 

 如何でしたでしょうか。

 ローコード開発,ノーコード開発について、少しでも分かった気になって頂けたでしょうか。

 

 これから、このような形でITネタを発信していきますので、ご愛顧のほど、よろしくお願い致します。 

 

中小企業でハッキングは脅威!?

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 さて、11回目となる今回は、パソコンやスマホを使っていると気になってしまう「ハッキングにフォーカスしようと思います。

 

ハッキング? それクラッキングですよ?

ハッカー

 読者の皆様は、『ハッキング』と聞くと、どんなイメージを浮かべるでしょうか。

  • 個人情報漏洩!?
  • 不正入金!?
  • パソコンを乗っ取って脅迫!?

 概ね、ネガティブなイメージが多いかと思います。

 

 それでは、『ライフハック』と聞くと、どんなイメージを浮かべるでしょうか。

  • 仕事効率向上
  • 賢い生活術
  • アプリを効率よく使いこなす

 ライフハック自体、『生活をより豊かにするアイディア』などのように捉えられているため、概ねポジティブなイメージが多いかと思います。

 

 実はこのライフハックの『ハック』は、ハッキングの別名とされていて、基本的に同じ意味を持っています。

 

 「はい?」

 

 意味不明感が満載ですが、ハッキングとはそもそも『物凄く高度で深い知識を組み合わせて、誰にも考えつかないような方法を用いてコンピューターを制御すること』を指していました。どちらかというと、「おお、コレすげぇ!!」といったノリであり、そうした芸術的ですらある手段を用いる技術者を、畏敬の念を込めて『ハッカー』と呼んでいたのです。

 

 なので『ハッキング』とは、誰にも想像もつかない芸術的な手段でコンピューターを制御することであり、『ハッカー』とは、そうした物凄い事をやってのける技術者を畏敬の念を持って呼ぶ為の呼称、であるといえます。

 

 そもそも『ハッカー』とは、もの凄い人に与えられる名誉称号だったのです。

 

 対して、個人情報を漏洩させたり、不正入金したり、パソコンを乗っ取るような破壊的な活動を『クラッキング』と呼び、それを行う者を『クラッカー』と呼びます。

 

 ただ、こうした破壊的な活動を行う場合も、『誰にも想像もつかない芸術的な手段』が用いられることが多かった事から、クラッカー自身が自らを『ハッカー』と称する場合が多かったため、現在あるようなネガティブなイメージが先行する事となりました。

 

 自らの技術力を誇示するために、敢えてクラッキングする者も後を絶ちません。有名なコンピューターウィルスを作った技術者が、高額な報酬を得て有名企業にスカウトされるなんていう話も結構あった程です。

 

 ですので、優秀なクラッカーは難攻不落の環境攻略にしか興味がありません。その辺のフリーWiFiから誰かの非暗号化通信を盗み見したところで、なんの自慢にも実績にもならないからです。例えば、堅牢な防衛省のシステムへ侵入したり、100%感染するようなウィルスプログラムを開発しなければ、技術者は誰も「おお、コレすげぇ!!」とは称賛しませんよね。

 

 優秀なクラッカーが直接攻撃を仕掛ける対象は、以上のように『攻略する事で技術力を誇示できる場合』と、加えて『その背後に大きなお宝が眠っている場合』に限られます。

 

 ですので、中小企業のセキュリティ対策のために、大企業が採用するようなセキュリティ対策が必ずしも必要になる訳ではない、と言えるのです。数々の機密情報、大量の個人情報という宝を守る堅牢なセキュリティシステム、それを攻略してこそクラッカーにとって意味があるからです。

 

 業界の情勢を覆すような機密情報や、利用価値の高い個人情報などといった、それ単体で高額取引可能な要素がある場合は別ですが、クラッカーによる攻撃に、それほど神経質になる必要はないかと思います。殺傷能力をもつ包丁がスーパーで購入可能であるように、原理として可能ではあるものの、その発生が極めて低いリスクに高額投資する事には賛成できません。

 

 しかし、そういった投資をしているケースが数多く見られます。かつ、高額な機械を設置しただけで満足してしまい、重要な設定が一切されておらず、何もしないよりもマズイ状況となっている現場も数多く見て来ました。

 

 セキュリティは何かを入れて全部終わりではなく、その理由と意味を把握し、常に有効性を評価し続ける必要があることを意識していただきたいと思います。

 

中小企業にとってのセキュリティ対策

 多くの中小企業にとって、クラッカーによる直接攻撃リスクが低い事はご理解いただけたでしょうか。

 

 以上を踏まえると、優秀なクラッカーが我々に与える脅威は、一点攻撃ではなく、不特定多数に向けた攻撃の一択になります。例えばコンピューター・ウィルスです。なので、パソコンにセキュリティ対策ソフトを入れておくことは、非常に大切な事だといえるのですが、Windows10/11には、Microsoft謹製のセキュリティ対策ソフトが標準搭載されているので深く考える必要はないかもしれません。

 

 ここで、優秀なクラッカーは『誰にも想像もつかない芸術的な手段』を用いる事を思い出して下さい。つまり、例えセキュリティ対策ソフトを入れていたとしても、そのソフトの斜め上を行く攻撃をするウィルスであれば、無防備同然、何の意味もないと言えます。例え厳重に戸締りしても相手がどこでもドアを使って来たら、もうお手上げですよね。優秀なクラッカーは、こんな状況を作り出してしまうのです。

 

 しかし、セキュリティソフトメーカーも、Windowsを作っているMicrosoftも、ただ手をこまねいている訳ではありません。優秀なクラッカーが攻撃して来そうな、セキュリティ的な穴(セキュリティホール)がないかを常に検査し、修正を加え続けているのです。

 

 仕事の帰り際に Windows Update が始まり、1時間帰れない・・・とか、パソコンあるあるですが、この更新には、上記のような営みで発見されたセキュリティ対策が含まれていることが殆どです。ですので、更新がある場合は素直に受け入れるのが吉、なのですが、プリンタ出力できなくなったり、業務システムが動かなくなったり、様々な症状が出るのも事実。これを嫌って更新を受け入れない方も少なからずいると思われます。

 

 そうした方は、更新を適用している方よりも、ちょっと危険度が増している事を意識しておいて下さい。更新プログラムが公開されると言うことは、どこにどんな不具合があるのかを公言しているのと変わりがないので、優秀ではないクラッカーでも、それを狙った攻撃を仕掛ける事が可能となる為です。ただ、優秀ではないクラッカーの場合、脆弱性を攻撃するプログラムを作ったとしても、それを効率的に配布する事が困難になる場合が多いのも事実です。優秀なクラッカーは、通信にこっそりとプログラムを配布する仕組みを紛れ込ませて・・・なんて事ができるのですが、優秀ではないクラッカーが何かを仕掛けたとしても、直ちにセキュリティ対策ソフトに検知されるのがオチだからです。

 

 さて、脆弱性のチェックを行っているのは、何もMicrosoftだけではありません。様々な機関、個人によって徹底的にチェックされています。製品の品質向上という観点もあれば、『おお、こんな穴を見つけたぜ!!』と報告する事で、自己顕示欲を満たそうとする人まで様々です。

 

 こうした方々によって発見された脆弱性は、大体、インターネット上に公開されます。メーカーが発見したものであれば、更新プログラム提供時に公開という事もできますが、第三者によるものだと、更新適用前に脆弱性が公開されてしまう事になります。

 

 ここで、優秀ではないクラッカーが活動を開始します。彼等の多くは犯罪集団であり、クラッキングする事で営利を得ようとする輩、もしくはそれに雇われた者となるでしょう。誰にも雇われていない優秀なクラッカーは、誰も知らない脆弱性を発見して、そこを突く事に意義を感じているため、対象から外れます。

 

 脆弱性が発見されて、更新プログラムが発表されるまでの間に攻撃を仕掛けることを『ゼロデイ攻撃』と呼びます。

 

 ゼロデイ攻撃は防ぎようがありませんので、諦めるしかないような気もしますが、セキュリティ対策ソフトの多くは、『怪しい動き』を検知して動作をブロックする機能を持っている場合が殆どです。この機能によって、ある程度ゼロデイ攻撃を防ぐ事ができます。

 

 ただこの機能は、プログラムの実行状況を別のプログラムで監視する仕組みのため、パソコンの動作がどうしても重くなります。『パソコンを快適に使用しよう!!』みたいな記事で、この機能を停止する事を推奨している記事とても多いです。もしかしたら、営利目的の詐欺集団がセキュリティ低下のために公開している情報なのでは!?と思ってしまう程です。デフォルトでオンになっている機能を停止する場合は、その機能が何の意味を持っているのか、キチンと確認してからオフにすることが、セキュリティ・リスクを低減するために重要となります。

 

 また、インターネットのサイトを閲覧していて、急に

 

『あなたのパソコンが感染しました。あなたのIPアドレスは、xxx.xxx.xxx.xx です。』

 

 などと、個人情報的な情報を併記し、カウントダウンまで表示して何らかのアクションを求めてくるような状況に遭遇する場合があります。

 

 この場合は迷わず、ブラウザの「×」ボタンを押して終了して下さい。これで何も起きなければ、まず問題ありません。

 

 これも『ハッキング?』と思われがちで、『なんでセキュリティソフトで除外してくれないの?』と言う意見も多く耳にするのですが、これは『まるでウィルス感染したかのような情報を表示しているホームページ』のようなもので、技術的には何も特別な事がないため、単純にスルーされているだけです。ホームページ作成ツールを使えば、皆さんも同じような画面を作ることができると思います。

 

 ただ、そこのウェブサイトがクラッキングされて、そのホームページが埋め込まれてしまっているケースが殆どのようです。更新を怠っている wordpress などのサーバー向けソフトを経由して、クラッキングされる場合が多いようです。もし、貴社で更新を怠っているサーバー向けソフト(HP用等)がある場合は、注意して下さい。共用で使用するタイプのレンタルサーバーの場合、貴社のみならず、貴社の領域を踏み台にして、その他の会社のホームページもクラッキングされてしまうといった事が起こり得ます。

 

 最も重大なセキュリティホールは『放置』である事を認識しておいて下さい。

 

 また、貴社がしっかりメンテしていたとしても、何もしない他社が同じサーバーにいた場合、貴社の領域が汚染される場合もあると言う事です。ですのでレンタルサーバーは、その料金だけではなく、そういった要素も加味してプランを選定してください。

 

 できるだけ安くが、リスクを大幅に高める場合が多々あります。

 

 また人間は、自分が理解できない事が眼前で展開されると、ついつい、あり得ないと思いながらも、目の前の情報を受け入れてしまいがちです。

 

 映像を見て、「うわぁ!!幽霊だぁ!!」と思ってパニックになっても、冷静に見てみたら目の錯覚だった、なんてことは多々ある訳です。マジックも然りで、「うそ!!なんで!?」と物凄く不思議に思っていた事でも、種明かしを受けると、「なんだぁ・・・そんなこと?」となる訳です。

 Mr.マリックさんの超魔術のタネがバレたとき、「マリックは嘘つきだ!!」なんて言う人が沢山居たわけですが、そもそもマジックなので当たり前であって・・・、目の前で発生する事象が衝撃的すぎれば過ぎるほど、その事象が真実であると言う思い込みが強くなる事を象徴していると思います。

 

 つまり何を言いたいかと言えば、何か尋常ならざる事が発生している画面を見て、最初は驚いたとしても、先ずは冷静になりましょう、と言う事です。

 

 パソコンにはセキュリティ対策ソフト(Windowsにも標準搭載)が入っており、そうそう、何かに侵される事はありません。ですので、先ずは目の前が誤りであるのではないかと、一旦、疑って見て下さい。怪しかったら、迷わずブラウザの「×」ボタン。

 

 しかし実の所、こうした外部からの攻撃(?)よりも、先ほどあげたような、

 『詳しくは知らないけど、良さそうだから設定を変えてみた』

 が一番危険と言えます。

 

 意図せずセキュリティ関連機能をオフにしてしまって、悪質サイトから意図しないファイルがダウンロードがされてパソコンが感染、と言うパターンが私の周囲では一番多かったのです。

 

 中小企業にとって、優秀なクラッカーからの直接攻撃の可能性は皆無である事から、下記の点を徹底しておけば、とりあえずは安心して良いのではないでしょうか。

  • 可能な限り更新はしておくこと
  • 怪しい画面が表示されても、変なボタンを押さずにブラウザの「×」ボタン 
  • 意味を知らない機能をオフにしたり、オンにしないこと
  • 知らない人からのメールの添付ファイルは開かないこと

 結局は、社員それぞれの心構えが重要、と言う事になりますね。

 

 次回は、何かと問い合わせが多い『ローコード/ノーコード開発』にフォーカスを当てて行こうと思います。プログラマーが不要になるんじゃない?なんて言われているこの技術ですが、ノーコード/ローコードでこそ、プログラマーが必要不可欠になる事実をご紹介していこうと思います。

 

ここで、結論。

 ハッキングとは、

  芸術的な手法でコンピューターを制御する事であり、

   犯罪の技術ではない。ただ、それを使って犯罪を犯す者は居る。

 

 如何でしたでしょうか。

 ハッキングについて、そんなにビクビクしなくても良い事が少しでも分かった気になって頂けたでしょうか。

 

 これから、このような形でITネタを発信していきますので、ご愛顧のほど、よろしくお願い致します。 

 

量子コンピューターって何?

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 さて、10回目となる今回は、新聞などで話題の「量子コンピュータにフォーカスしようと思います。

殆どオカルトな量子力学の世界へようこそ

量子力学

 量子コンピューターという位なので、それを理解するために『量子』を理解する道は避けて通れません。ただ、『量子』とかいう学術用語が出てくると、一気にヤル気がなくなってしまう方も少なくないでしょう。

 

 でも安心して下さい。私もですよ。

 

 そこで、『量子』の正しい解説については立派な学者先生にお任せするとして、ここでは、素人の私がそれなりに解釈した量子というものを紹介していこうと思います。

 

 『量子』とは何か?

 

 それを一言で言うと、

 

 『量子は、とっても、とっても・・・とーーーーーっても、小さい粒』です。

 

 小さい粒といえば、中学校で学んだ『原子』を思い浮かべますよね。先生から教えてもらった時には、

 

 『原子は、それ以上に分解できない、物質の最小単位である』 

 

 と教えられた記憶があるのですが、どうやらその原子も、原子核と電子から構成されていて、原子核は更に陽子と中性子から構成され・・・って、「原子は最小じゃないんかい!!」と高校の頃に思った(遅すぎる?)事を覚えています。

 

 で、どうやらその原子を形作っている『陽子』や『中性子』、そして『電子』の事を『量子』と呼ぶ事がわかりました。他にも、光の粒である『光子』や、ニュートリノ(辛うじて聞いたことがある)やクォーク、ミュオン(ここまでくると初見)などの『素粒子』も、『量子』の仲間になるそうです。

 

 まあ、素人感覚で定義するとすれば、

 

 『物質の最小単位である原子よりも小さな粒、それが量子』

 

 と言えるのではないでしょうか。

 

 それで、その小さな粒の量子なのですが、物質の最小単位より小さいためか、これまでの物理学の常識が通用しない動きをするそうなんです。

 

 「常識が通用しない動きって、どういうこと?」

 

 となりますよね。

 誤解を恐れず、敢えて素人目線でシンプルに例え話をしてみます。

 

 私は右手にボールを乗せています。仮にこのボールを量子だと思って下さい。

 私は今、ここにあるボールを見ている(観測している)ので、確かにそこに、ボールは存在しています・・・って、当たり前ですよね?

 次に、このボールを誰も見えない(観測できない)押し入れに隠しました。この場合、そこにボールは存在するでしょうか?

 

 「そんなの、存在するにきまってるじゃん!!」

 

 となりそうですが、どうやら、量子の場合はその理屈が通用しないらしい。

 量子は、観測しているか、していないかによって、その挙動が変わるという不思議な性質を持っているそうなのです。ですので、観測していない場合は、『あるかもしれないし、ないかも知れない』という2つの状態が重なり合った曖昧な状態になる、という訳です。

 

 更に、1つの量子を2つに分解した場合。

 

 一方の量子が地球上に、もう一方の量子が宇宙の果てにあったとして、片方の量子が観測された瞬間、もう片方の量子も観測された時の挙動を示すそうです。つまり、分解した量子の関係性には、距離の概念が存在しない、という事なのでしょうね。

 この原理で『量子テレポーテーション』なんていう怪しい技術の研究も進められているそうです。

 

 こうした、摩訶不思議な量子の挙動を研究する学問が『量子力学』という訳です。

 

 どうでしょうか?

 

 もう、素人の私にとってはオカルト過ぎて、もしや『これを解明すれば幽霊とか説明できるんじゃない!?』という位、物凄いレベルの学問ですよね。

 しかも、オカルトな大学ではなく、普通に立派な一般の大学で真剣に、学者さんたちが研究に励んでいるのですから、不思議な感じがします。

 

 未だ、オカルト感が拭えない量子ですが、その不可思議な動きを視覚的に証明する有名な実験が行われました。専門的になると思いますが、ご興味のある方はぜひ、

 

 『2重スリット実験』

 

 を google 先生に聞いてみて下さい。私は、ゾクゾクしました・・・。『観測』っていう主観が入ると性質が変わるって・・・、幽霊が見える、見えない、みたいな話に似てると思いませんか?

 

オカルトコンピューターの誕生

 量子の不思議ちゃん具合は何となく分かって頂けたと思います。そして今回のテーマである『量子コンピューター』は、この摩訶不思議な量子を使ったコンピュータなのですが、私の中ではまだ、オカルトコンピューターといった未知の領域です。

 

 しかし 2023年3月24日に、国産量子コンピュータ初号機による「量子計算クラウドサービス」なるものが開始されています。

www.riken.jp

 確実に、実用段階に入ってきていると言っても過言ではないでしょう。

 ※量子コンピュータの筐体写真を見ると、人類破滅後の世界で描かれているヤツに何となく似てるのが気になる・・・。
 

 この量子コンピューターですが、現在使われているコンピューターと何が違うのか気になりますよね?

 

 平たく言うと、

 

 現在のコンピューターは『複数の計算を1つずつ処理』するのに対し、

 

 量子コンピューターは、量子の不思議な性質を利用して『複数の計算を全部一気に処理』する違いがあります。

 

 結果、現在のコンピューターよりも、気が遠くなるほど圧倒的に早く、計算を行えるようになります。

 

 圧倒的に早く計算を行えるようになると、どのように世の中が変化していくかについては、ITについて考えると見えてくるでしょう。下記の記事をチェックしていない方は是非、チェックしてみてください。 

shintaroh-seki.hateblo.jp

 

 量子コンピューターはまだ産声をあげたばかり。本格的な活用はまだまだこれからでしょう。

 しかし、我々の前に今、インターネットが出て来た時のように、社会の常識を変革するであろう要素がまた一つ、姿を現している訳です。

 

 ICT,IoT,AI,DX、そして量子コンピュータ

 中小企業経営者である我々が10年後、力強い日本社会を取り戻すチャンスが沢山溢れている訳です。

 是非、これら新しい要素を活用して、如何に洗練された未来をデザインして実現していくか、皆で考え、実践していこうではありませんか!!

 

 次回は、何かと恐れられがちな『ハッキング』にフォーカスを当てて行こうと思います。幽霊が怖い原理と同じで、敵を知ってしまえば、そんなにおびえる事は無い事を実感して頂こうと思います。

 

ここで、結論。

 量子コンピューターとは、

  量子の不思議ちゃんパワーを活用して、

   想像を絶する計算処理速度を実現する新世代のコンピューター。

 

 如何でしたでしょうか。

 オカルトな量子コンピューターについて、少しでも分かった気になって頂けたでしょうか。

 

 これから、このような形でITネタを発信していきますので、ご愛顧のほど、よろしくお願い致します。 

 

デジタルって、結局なに?

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 さて、9回目となる今回は、ICTやDXの基本中の基本である「デジタルにフォーカスしようと思います。

 

デジタルとは?

デジタル

 デジタルを辞書で引いてみると下記の様に書いてあります。

《「ディジタル」とも》連続的な量を、段階的に区切って数字で表すこと。計器の測定値やコンピューターの計算結果を、数字で表示すること。数字表示。⇔アナログ。

デジタル大辞泉 小学館

 『連続的な量を、段階的に区切って』と言われると『?』になってしまいますが、ここでは時計をイメージしてください。

 

 デジタルの反対語となる『アナログ』の時計は、時刻を『針の位置』で表示しますが、『デジタル』の時計は、時刻を『数字』で表示します。つまり、『物事を数字で表す事がデジタル』という訳です。

 

 時刻を数字で表す事に違和感はありませんが、音声はどうでしょうか。

 

 音声は、空気の振動による波が耳の鼓膜を振るわせる事によって認識されています。最近では、骨を振動させる事によって音声を認識できるようにする技術もあるようで、『骨電動イヤホン』なるものも売っているようですが、何れにしても、振動という『波』が音声を構成している事に変わりはありません。

 

 音声は『波』で構成されているため、この『波』を何らかの形で記録しておき、そして再現できれば、音を保存しておくことが可能となります。

 まさに、エジソンはこの発想で蓄音機を作りました。

 

 蓄音機で音声を録音する際は、集音器から入ってくる空気の振動を針に伝えて、その内容を回転する筒に凸凹として刻み込みます。つまり、時間毎の波の大きさを凸凹に変換して記録している訳です。

 今度は逆に、筒に記録した凸凹に針を当て、録音した時と同じスピードで回転させれば、凸凹が針の振動へと変わり、その針の振動を空気に伝える事で、録音時の音声を再現できるという訳です。

 この技術は、レコードでも使われています。

 

 レコード鑑賞と言えば、スピーカーから流れる音を聴くのが主流だったと思いますが・・・、どうしてスピーカーから音を出せるのか、ここまで来ると気になりますよね。

 実はここでも『波』が密接に関連していて、レコード針が振動する事で生まれる波を電気の波に変換し、その波を受け取ったスピーカーが、空気を振るわせる振動に変換する事で音を出しているのです。

 『レコード針の振動の波⇒電気の波⇒スピーカーの振動の波⇒空気の波』という変換を遂げて、レコードの音が届けられている訳です。

 

 レコードはアナログ技術ですが、デジタル技術のCD(Compact Disc)では、どのように音声を録音・再生しているのでしょうか。

 

 ここで何か物凄い最先端技術が出てきそうですが、残念ながら、デジタル技術でもアナログと変わらず『波』を記録する事で録音しています。ただ、アナログでは波を凸凹で記録していましたが、デジタルでは、『時間毎の波の大きさの数値』で記録するようになりました。

 

 0.01秒後:10 

 0.02秒後:350 

 0.03秒後:50

 

 などの様に、時間毎の波の大きさを数値として記録している訳です。これを『デジタルサンプリング』と呼びます。

 

 音声の素となる波を記録する際に、アナログでは針の振動を凸凹として記録していくため、記録する時間の間隔は限りなくゼロに近い、滑らかなものになる事が想像できると思います。丁度、下記のような綺麗な波線を描くようになるイメージです。


 対してデジタルでは、〇〇秒後の大きさ、〇〇秒後の大きさ・・・というように、ある特定時点での波の大きさを記録するため、アナログと異なり、下記のような棒グラフで波を描く事になります。

 これを見ると、「デジタルよりアナログの方が音が滑らかなのでは?」と思えますよね。確かにそれが、未だレコードが人を魅了して止まない要因の一つなのかも知れませんね。

 ただ、波の大きさを記録する時間間隔を短くすればするほど、棒グラフは波線に近づいていきますので、デジタル音声はアナログ音声に劣ると言い切れない事も理解して頂けると思います。

 

デジタルとコンピューター

 デジタルを語る上で欠かせない存在となっているコンピューターですが、なぜ、欠かせないのでしょうか。

 

 パソコンやスマホ、ついには車にまで、至る所で使われているコンピューターですが、どんなイメージをお持ちでしょうか。

 

 『なんかわからないけど、とにかくすごい事をしてそうな機械!?』

 

 のように、得体の知れないものと思っている方も多いでしょう。

 

 しかし、コンピューターは結局の所、『計算機』に過ぎません。ただ、その辺に転がっている電卓と大きく異なる点は、

  • 計算のやり方を細かく指示でき、その指示を記憶できること
  • 計算の結果を記憶でき、その内容を使って更に計算できること

 といった所でしょうか。

 計算のやり方を細かく指示したものを『プログラム』と呼び、プログラマーという仕事は、この指示を日々作っている、という事になります。

 また、プログラムや計算の結果を記憶する場所を『メモリ』と呼びます。この辺の単語は、パソコンを使っていれば必ず耳にしますよね。

 

 ちなみに、その昔のパソコンでは、足し算と引き算の命令しかありませんでした。割り算をする場合は、引き算を繰り返し実行するようにプログラムし、掛け算を実行する場合は、足し算を繰り返し実行するようにプログラムしていたのは、懐かしい思い出です・・・。

 『4÷2』は、4から2を2回引けるから2、

 『3×3』は、3に3を3回足すから9、

 のように計算させていました。勉強下手だった私にとって、『足し算と引き算だけで、掛け算や割り算ができるなんて!!』と、物凄く頭が良くなった様な気がしたことを強烈に覚えています。

 

 こんな感じで、結構ショボイ計算機のコンピューターなのですが、コンピューターの守備範囲が余りにも幅広いため、突然「単なる計算機だよ」と言われても、きっと『???』な状態だと思います。

 

 恐らく、人類がアナログ思考のまま、デジタルの考え方を発見できていなかったら、コンピューターはこんなに進化しなかった筈です。コンピューターに代わる別の何かが、世の中に浸透していたかも知れません。コンピューターの発展を語る上で、数値で物事を表すというデジタルの考え方は必要不可欠なのです。

 

 ここまで言うと、ピピッと来ている方もいらっしゃるかも知れませんね。

 

 デジタルは、物事を数値で表す考え方です。そしてその数値は、計算できます。アナログは計算できませんが、デジタルは計算できるわけです。

 

 つまり、『デジタルの世界は計算で制御できる』のです。

 

 先ほど話題にした音声を思い出してみましょう。

 

 デジタルで音声を記録する場合、『ある特定時点での波の大きさを記録』していました。この波の大きさは数値なので、コンピューターのメモリに記憶する事ができます。この内容をコンピューターが電気の波に変換し、スピーカーに伝えれば、コンピューターを使って、音声を再生できるという理屈です。

 更に、計算によって音声の波(の大きさ)を作り、それをメモリにどんどん蓄積して、その内容を電気の波に変換し、スピーカーに伝えれば、録音もしていない、コンピューターが新たに作り出した音声を再生する事もできます。ボカロ等のコンピューター音声は、極論するとこのような仕組みで造られている訳です。

 

 画像(写真など)も似た様な仕組みです。

 デジタルで画像を表す場合は、画像を沢山の点の集まりとして捉えます。その昔、ファミコンで画像を描く場合に、大きな点(ドット)を組み合わせていたドット絵を思い出して下さい。イメージが湧きますよね?

 そして、その点の位置が何色をしているのか、という色情報を数値として表します。例えば、0であれば黒、1であれば青、2であれば赤、のような感じです。ちなみに、ファミコンで取り扱える色数は52(しかも様々な制限あり)でした。

 現在のコンピューターでは、点(ドットではなくピクセルと呼ぶ)が非常に細かくなり、使える色数も膨大(一般的に1677万色)になりましたが、基本的な考え方は変わっていません。そして、静止画をパラパラアニメのように、連続して表示し続けるのが動画となります。

 このような仕組みとなっているので、音声の場合と同じように、計算によって静止画や動画を作成する事ができる訳です。

 

 今や、音声、画像、動画、ありとあらゆるメディアがデジタル化されています。デジタル化されているからこそ、コンピューターで活用できている訳です。このように、コンピューターとデジタルは、切っても切り離せない関係にあると言えるでしょう。 

 

 デジタル化できるものは、コンピューターで処理可能です。なので、デジタル化できないものは、コンピューターで扱う事ができません。以前は無理と思われていた「知能」も、今や実用化できるレベルでデジタル化(AI)できています。ですので、今は無理だと思われている感情や知性なども、そのうち、デジタル化できる時代がやってくるかもしれません。

 

 さて次回は、実は誕生以来、ずーーーっと同じ仕組みで動いているコンピューター、その常識を根底から覆す新しいコンピューターの仕組み、「量子コンピューターって何?」にフォーカスを当てていこうと思います。

 

ここで、結論。

 デジタルとは、

  コンピューターで物事を制御するために必要なデータ形式である。

 

 如何でしたでしょうか。

 デジタルとコンピューターの密接な関係について、少しでも分かった気になって頂けたでしょうか。

 

 これからも、このような形でITネタを発信していきますので、ご愛顧のほど、よろしくお願い致します。 

DX化って何? IT化と何が違うの?

 このブログでは、中小企業経営者(IT企業)が、中小企業経営者に向けて、知った気になれるITネタを発信しています。課題解決の気付きに、ここで発信するネタが少しでもお役に立てれば幸いです。ITをどんどん活用して、我々の手で豊かなニッポンを取り戻しましょう!!

 

 さて、8回目となる今回は、最近話題の「DX化にフォーカスしようと思います。

 

DXって?

 DXはDigital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)、デジタルによる変化・変形・変容、のようなイメージになります。そのままだと、DTという表記になりそうですが、英語圏で Trans を X と表記する習慣があるため、Digital X-formation、DX となっている訳です。

 で、『デジタルによる変化・変形・変容って何よ?』となる訳ですが、デジタルの部分は、これまで解説を続けてきたICT,IoT,AIを示してると思ってください。それらの技術を活用して、ビジネスを変化・変形・変容させる、つまり、『ICT,IoT,AIを活用してこれまでの常識をぶっ壊し、新しいビジネス環境を作っていこう!!』という取り組みをDXと呼んでいます。

 ICT,IoT,AIが如何にして新しいビジネス環境を作るのか・・・。これについては過去の記事で解説していますので、まだ読んでいない方は是非、チェックしてみて下さい。

 

shintaroh-seki.hateblo.jp

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IT化との違いは?

IT化との違いは?

 IT化では主に、それまでは紙や鉛筆、電話といったアナログのツールを使っていた物事をパソコンやインターネットといったデジタルのツールに置き換える事を主眼としていました。

 人間の脳では扱う事ができない大量のデータを瞬時に処理できるようにする事で、業務の効率化を図ったり、これまで気づけなかったような情報を取り出せるようにした訳です。

 対してDX化では、改善・効率化といった視点を更に超えて、これまで不可能と思われていたような、誰も目にした事のないビジネスモデルをつくり上げ、企業組織や文化をも変革して競争力を高めていく事を主眼としています。つまり、戦後の焼け野原から高度成長を遂げた時のようなチャンスが、今、ここにあるという事です。

 DXによる世界変革の入り口にいる今、これを機に強かった日本を取り戻そうと、日本政府もDX化に注力しています。下記リンクの資料は、経産省が発行しているDXレポートというものです。DXに対する日本政府の思いの丈がよく述べられていると思いますので、是非、ご一読下さい。 

https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/covid-19_dgc/pdf/002_05_00.pdf

 

 DX化を通じて強かった日本を取り戻すのは、間違いなく我々、中小企業経営者です。日本企業の9割以上は中小企業なのですから、我々がDXに真剣に取り組まなければ、先に広がるチャンスを手にすることはできません。

 

 いや、手にできないばかりか、今以上に世界に取り残され、『衰退途上国日本』は間違いなく『衰退国』に成り果てるでしょう。

 

 全方位的に閉塞しているこの社会では、どうしても守りの営みとなりがちです。しかし、戦後の先達がそうであったように、新しい未来への希望をありありとイメージし、その実現に向け、熱意と生命力を漲らせていく事が重要ではないかと考えます。

 

 この記事を機に、DX化が『また、意味不明な横文字用語かぁ』と捉えるのではなく、『チャンスに満ち満ちた希望の言葉』であることを実感して頂きたいと願っています。

 

 次回は、DXにもある「デジタルって結局何?」にフォーカスを当てていこうと思います。

 ※8回目にしてネタ切れ感が出てきて・・・、ブロガーの皆様の凄さを身をもって感じております。

 

ここで、結論。

 DXとは、

  第2の高度成長を迎えられるかもしれないチャンスをくれる概念。

 

 如何でしたでしょうか。

 DXが生み出すチャンスについて、少しでも分かった気になって頂けたでしょうか。

 

 これからも、このような形でITネタを発信していきますので、ご愛顧のほど、よろしくお願い致します。 

 

失敗しないシステム導入の方法論

 このブログでは、中小企業経営者(IT企業)が、中小企業経営者に向けて、知った気になれるITネタを発信しています。課題解決の気付きに、ここで発信するネタが少しでもお役に立てれば幸いです。ITをどんどん活用して、我々の手で豊かなニッポンを取り戻しましょう!!

 

 さて、7回目となる今回は、「失敗しないシステム導入の方法論」にフォーカスしようと思います。前回、前々回の記事では、システム導入が失敗する要因について語っておりますので、まだお読みでない方は、ぜひ下記をチェックしてみてください。

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他人事から自分事へ

他人事

多くの場合、人は形にしてみせてもらうまで、自分は何が欲しいのかわからないものだ 

 スティーブ・ジョブズが言うように、人は出来上がったシステムを使い始めてから沢山の要望に気付きます。その要望が山のように詰みあがっていくうちにそれが不満へと変わり、様々なトラブルを引き起こす事となります。

 

 それだったら、という事で、

 動く画面を先に作って、使い手に事前検証して貰おう

 という作戦を取った事があります。

 

 見積書を管理・作成・印刷する機能一式を使い手のパソコンにインストールして

 「これで問題無いか、1~2週間使ってみてください」

 とお願いしてみました。

   

 その後の打ち合わせでも使い手の方々は、

 「便利になると思いますよ

 「今の業務を続けるのも問題ないと思いますよ

 とニコやかに報告して下さっていたので、これは順風満帆だと高を括っていました。

 

 そしていざ、システム切り替えの日を迎えると、

 「なんで、Excelから明細を全部コピペできないの!?」

 「やっぱり、日付の印刷位置はこっちにしたい」

 「単価の少数を四捨五入にして欲しい」

 

 ・・・結局、何も変わりませんでした。

 

 つまり、人は形にしてみせても、見たものを自分事として捉えてもらわなければ何の意味もない、という事のようです。

 事前に動く画面を使ってみた所で、実際にそれで本当の仕事をしてみない限りは、結局、何も見えないという事です。

 

 考えてみれば、

 「これで問題無いか、1~2週間使ってみてください」

 というお願いは、使い手の仕事を増やす行為です。ただでさえ忙しいのに、新システムの新しい画面を試用しろと言われた所で、所詮、他人事となってしまいますよね。確かに、自分だったらそうなってしまうと思います。どうせ、自分以外の誰かが見てくれているだろう、と。

 

 事前検証作戦を何度も失敗させた私は、部分的な機能検証する際、

 『使い手に他人事ではなく、如何に自分事として検証してもらうか』

 それが大きなカギになりそうだと、気が付きました。

 

小さく作って大きく育てる

 システム導入に関して、私が経験した数多くの失敗から感じた問題点は下記の通りです。 

  • システムが完成して使い始めるまで使い手のイメージにフィットするか把握できない
  • システムが完成して使い始めるまで全ての要求を把握できない
  • 見積時に要求をハッキリさせないと大きな見積誤差が発生する
  • 見積時に要求をハッキリさせるためには結構な工数が必要
  • 一度完成してしまうと新しい要求を反映できない

 

 この他にも色々な問題はあるかと思いますが、私が特に重要だと感じている部分は上記の通りです。この問題に立ち向かうためには、

 

  • 使い手のイメージにフィットするかを早急に評価できること
  • 使い手の要求を早急に炙り出せること
  • より少ない工数で見積誤差を最小にできること
  • そもそも変更を受け入れる前提で開発を進めること

 

 上記の課題をクリアする必要があります。

 実は、これらの問題を一気に解決してくれそうなシステムの開発手順というものが存在します。それが、小さく作って大きく育てる、アジャイルagile:機敏な)開発と呼ばれるやり方です。クラウド型のサブスク・サービス等では一般的な手法なので、耳にされている方も多いかも知れません。

 

 アジャイル開発は、システム全体を一気に造り上げる従来の手法に比べて、下記のような特徴を持っています。

  • 大きな開発範囲を細かく機能分割する
  • 細かく分割した機能単位でリリースする
  • 何回もリリースを続ける
  • リリースの結果発生した要求を受け入れる『変化』を前提とする

 リリースとは、実際に業務機能として使ってもらうという事です。ですので、使い手には自分事として受け入れてもらう事ができます。

 また、機能範囲を小さくすることで、見積誤差も小さくする事ができ、リリースまでの期間も短くできるため、使い手の要求を早急に炙り出すことができます。

 そして、何回もリリースを続けること、変化を受け入れることを前提とする事によって、使ってみて初めて見える要求をネガティブな要素として捉えるのではなく、仕事をより良いものへと進化させるポジティブな要素として捉えられるようになります。

 

 例えば、業務システム導入プロジェクトの場合、従来であれば

  • 全体を設計する
  • 全体の設計内容に関して合意する
  • 全体を作る
  • 全体をテストする

 というような流れで開発を進めていたものを

  1. 全体を細かく分割(見積登録,検索・照会など)
  2. 次のリリース(2週間など比較的短い期間)までに何を実装するかを合意する
  3. 合意した内容を実装・テストする
  4. リリースする
  5. 2へ戻る

 という短いサイクルを積み重ねていく事によって、システムを構築していこうという考え方になります。リリースの度に発生する要求も、『2.次のリリース(2週間など比較的短い期間)までに何を実装するかを合意する』の中で取捨選択をして、実装に加えていきます。

 

 つまり、小さく作って大きく育てる、といった手法です。

 

 素早くリリースする事で、使い手の要求を早急に炙り出し、そのイメージにフィットするかを早急に評価できるようになります。また、対象範囲を小さくする事で、見積誤差を最小化する事もできるようにもなります。

 

 これで、使い手と作り手の不満を最小化し、誰もが笑顔になれそうなのですが、この手法にも、下記の様な大きな問題があります。

  1. 実業務使用に耐えうる実装になるまで時間を要する
  2. 最初に定めた予算及び期間で、全ての範囲を作り切れる保証ができない

 

実業務使用に耐えうる実装になるまで時間を要する

 新システムを1から作る場合は、この問題が顕著になります。ですので、最初の1ヶ月は見積管理のベータ版を作る、というような仕切りにしておき、ベータ版をスタート地点として改善活動を始めていく、という進め方をする場合もあると思います。

 

 また、基準とするカスタム可能なパッケージをシステムベンダーが持っている場合は、それをスタート地点として改善を進めて行くというやり方もできます。

 

 ですので、この問題については様々な手を打てるため、受注前に方針さえ定めておけば、特に大きな問題に発展する事はないと考えます。

 

最初に定めた予算及び期間で、全ての機能範囲を作り切れる保証ができない

 アジャイル開発の採用をお勧めする上で、決裁者が最も嫌がる部分がここなのですが、そもそも、最初に機能範囲と予算、期間を決めて一気に造る手法を取っても、結局は出来上がらないケースが殆どなので、問題の本質はあまり変わっていません。

 ここで、経営者の方々にお願いしたいのが、システム導入の目的が、

 

 『システムを造る事』

 

 ではなく、

 

 『業務を効率化する事、そして、より高次元の価値を提供できるようにする事』

 

 にある事を再認識して頂きたいのです。つまり、

 

 『当初思い描いた通りのシステムの完成を目標にする』

 

 のではなく、

 

 『システム導入の結果、何がどの程度効率化したのか、どんな価値が誕生したのか』

 

 で、達成度を評価して頂きたいのです。

 

 システム導入の最初に、上記のような評価基準が明確になっていれば、

 

 『この要望は果たして、〇〇の向上にどの程度、役に立つのだろうか・・・』

 『この機能は果たして、新しい価値の実現に本当に必要だろうか・・・』

 

 と、優先順位を判断するための物差しができます。この物差しがあるからこそ、どの機能をどの程度の完成度で、いつまでにリリースできるのか、コントロールできるようになるわけです。

 「システム的に難しくても、どうしてもこの罫線が必要だ!!」

 という使い手の方にも、

 「その罫線は、〇〇の向上にどの程度、役に立つものでしょうか?それよりはこっちの方が・・・」

 というように、客観的な共通の価値観で物事を判断できるようになるので、今までのように、『何いってやがるんだコイツ!!』と、険悪なムードになる事もないと思います。

 

 客観的に評価可能な共通の物差しを作る事こそ、システム導入における肝といえる大切な部分となります。

 

 そして更に、システムは一度造って終わりではなく、是非とも、継続して進化させていくべき資産であると、捉えて頂きたいと思っています。

 

システム導入は投資である

システム導入は投資である

 これまでシステム導入は、

 

 『決まった予算・期間で決まったものを造る』

 

 営みとして捉え、その開発費を単なる費用として捉えるのが一般的でした。

 しかし近年、IT、ICT技術の進展に伴い、変化のスピードは益々速くなってきています。

 例え、3年前に設計したシステムが今、完成したとしても、3年前の常識が今では通用しなくなっている事も多々あるわけです。それこそ、資源の無駄に過ぎません。

 

 この状況を反映して、最近大手企業では、『ITを内製化する』事が活発になってきています。つまり今までは、

 「こういうのを〇〇までに作って!!」

 という感じで、ITベンダー等に半ば丸投げしていたシステムの開発を自社で行おうという試みをしている訳です。

 

 なぜ内製化する必要があるのか?

 

 それはつまり、

 

 『システムは一度作って終わり』

 

 ではなく

 

 『内部・外部問わず、激変し続ける環境に合わせて絶えず進化するもの』

 

 と捉え、システムは使いながらも常に進化させていく資産、という考え方に変わってきている、という事が察せます。

 今までは、自社業務にとってITスキル等は常に必要なものではないから、専門業者に任せておけばよかったのが、

 システムが自社業務にとって必須のものとなり、それを進化させていく営みこそ、会社の競争力に直結する重要な資産であるとの認識が広がっているからこそ、内製化が進んでいる要因の1つと言えるでしょう。

 

 つまり、システム導入は費用ではなく、投資であり、常に進化させていくべきものと認識されている訳です。

 

 それではなぜ、システムが企業に無くてはならない重要資産と認識されるようになったのか、次回は今流行の「DX化って何? IT化と何が違うの?」にフォーカスしていきたいと思います。

 

ここで、結論。

 システムは重要資産であり、

  激変する環境に合わせて常に進化させ続けなければならない。

 

 如何でしたでしょうか。

 失敗しないシステム導入の考え方について、少しでも分かった気になって頂けたでしょうか。

 

 これからも、このような形でITネタを発信していきますので、ご愛顧のほど、よろしくお願い致します。 

 

なぜシステム導入に失敗するのか? その2

 このブログでは、中小企業経営者(IT企業)が、中小企業経営者に向けて、知った気になれるITネタを発信しています。課題解決の気付きに、ここで発信するネタが少しでもお役に立てれば幸いです。ITをどんどん活用して、我々の手で豊かなニッポンを取り戻しましょう!!

 

 さて、6回目となる今回は、前回に引き続き「なぜシステム導入に失敗するのか」にフォーカスしようと思います。前回の内容をまだお読みでない方は、ぜひ下記をチェックしてみてください。shintaroh-seki.hateblo.jp

形にして初めてわかる事

人は形にするまで要望がわからない

 前回お伝えしたように、システムを導入する場合、概ね下記の手順に沿って開発が進みます。

  1. 使い手(経営層等も含めた)のシステムに対する要求を明確化する
  2. 要求を実現する機能の見た目(画面や文言等)を設計する
  3. 見た目や使い勝手の部分について、使い手との合意を得る
  4. 見た目や使い勝手を実現する内部機能を設計する
  5. 設計に基づいてテストコードとプログラムコードを書く
  6. 技術者の手で、プログラムが設計通りに正しく動くかテストする
  7. 使い手の手で、プログラムが要求通りに正しく動くかテストする

 そして、問題の多くは下記のタイミングで発生します。

 

 7.使い手の手で、プログラムが要求通りに正しく動くかテストする

 

 前回は、仕上がったシステムを実際に触ってみて初めて、使い手が自分がイメージしていたものと違う事を認識し、要望やクレームへと発展するケースをお話しましたが、今回は、テストのタイミングになって要望が爆発的に増える問題についてお話します。

 
 使い手が、実際にシステムを動かしながら確認を進めていると、

 

 『表示する項目が足りない』

 『もっとこうした方が便利だ』

 『こっちの画面とこっちの画面を一緒にした方が良い』

 などなど、新しい要求が沢山出てくる事が珍しくありません。

 この場合は当然、要求通りの実装を済ませているわけですので、

 「追加の予算と期間を頂かなければ対応できませんねぇ・・・」

 としか回答できない場合が殆どです。

 

 しかし、新しい要望の数が少ない場合はそうでもないのですが、テストを続ける中でその数が増えてくるに従い、

 

 『なんか、物凄く使えない粗悪なシステムだ・・・』

 

 という感情が蓄積していく場合が多くありました。仕様通りであるにも関わらず、

 

 「こんな品質の悪いバグだらけのシステムは使えない!!」

 

 と言われた事があった程です。

 こうした場面においては多くの場合、『仕様通りですので・・・』という調整で物事が進んでいくのですが、文句を言う方も、文句を言われる方も、不快極まりない状況に陥ります。ですので、

 

 『こんな会社と二度と取引するものか・・・』

 

 お互い、そんな気持ちを抱えたままプロジェクトが終了するケースも多いのではないでしょうか。

 

 ここで大きな問題点はたった1つ、

 

 モノが出来上がってしまってから、沢山の要望が出てくる

 

 という点です。予算と期間を使い果たしてから要望がでてきても、どうすることもできないのです。予算を追加して問題の解決を図ったとしても、

 

『このシステム屋は、なんで1回でできなかったんだ!?能力が低いんじゃないか?』

 

 という不信感が拭えぬまま残り続けます。既に使い手と作り手の間に信頼感などなくなり、険悪な状態でプロジェクトが進む訳ですから、コミュニケーションが悪くなり、ますます、要望を実現できずに泥沼にはまっていくのです。比較的、規模の大きなプロジェクトでもよく見られる状況だと思います。

 

 この問題に取り組んだ多くの先達は、

 

 モノが出来上がる前に、要望を漏らさずに全て掬い上げる事

 

 にフォーカスし、実に様々な手法を考案して試していたのですが、その殆どは失敗に終わっています。

 

 ここで下記、スティーブ・ジョブズの名言が思い浮かびます。

多くの場合、人は形にしてみせてもらうまで、自分は何が欲しいのかわからないものだ

 そうなんです・・・。

 

 『モノが出来上がる前に、要望を漏らさずに全て掬い上げる事』自体に無理があるのです。

 

 この問題を解決するためにフォーカスすべき点は、

 

 『モノが出来上がってから出てくる要望を如何に処理するか』

 

 となる訳です。

 

開発に対する考えをぶっ壊せ!!

 システム開発は、数か月から数年の長い歳月をかけて行うのが一般的です。

 使い手の皆様がシステムの開発依頼をする場合、一般的に下記のような流れをイメージされる場合が多いようです。

  1. 見積依頼~システム屋からヒアリングを受ける
  2. 見積受領~請負契約締結
  3. システム屋が作る
  4. 検収する

 まず、この考えで開発依頼をした場合、確実にその導入プロジェクトは失敗します。一般的な請負契約としては特に問題なさそうですが、どこがマズいのでしょうか?

 

 最初に、4.検収するの段階で、先に述べた『モノが出来上がってから出てくる要望の処理』ができません。

 そもそも、『モノが出来上がってから出てくる要望』を見積に含める事は不可能ですので、別契約を前提とする必要があります。

 これは、システム屋にとって当たり前の事ですので、敢えて説明を受けないかもしれません。ですので、必ず最初に、この部分の取り扱いを確認するようにしましょう。

 

 次に、見積の段階で正確な要求を把握する事は不可能です。要求を正確に把握すためには、下記システム開発手順でいう所の1~3までを最低限、かつ確実にこなす必要があります。

  1. 使い手(経営層等も含めた)のシステムに対する要求を明確化する
  2. 要求を実現する機能の見た目(画面や文言等)を設計する
  3. 見た目や使い勝手の部分について、使い手との合意を得る

 上記の作業は、何故か甘くみられる場合が多いのですが、小さい規模のシステムでも通常、1ヶ月以上かかるケースが殆どです。そもそも、画面設計まで終えている状態となるので、開発は4割方終わっているような進捗度合いとなるからです。

 この作業を受注確度も不明のまま、工数を持ち出してまで対応するシステム屋は少ないと言えます。

 そこで多くのシステム屋では、この1~3までの作業を『要求定義作成支援業務』などと銘打って、支援契約として有料で対応する場合があります。お客さまがどんなシステムを欲しているのか、第三者が見ても理解できる資料一式を作るので、その分の費用を下さい、という理屈です。作成した文書の内容で引き続き、要求定義を依頼した会社に開発依頼をしても良いし、場合によっては他社に依頼して頂いても結構です、という感覚です。

 ただ、経営者の皆様には、なかなか馴染みが薄い部分だと思います。

 

 「全部まかせるんだから、そんな面倒なやり方しなくてもいいよ!!」

  ※全部まかせる、経験上、最も危険な言葉です。

 「システムを何も作らないのに、そんなのに金を払えるわけがない!!」

 

 言われる意見はごもっともなのですが、何を作るかすら明確に決まっていない状態で見積を作成する事を考えてみて頂ければ、これが如何に危険な事か、想像して頂けると思います。

 この点を察して頂けているお客さまの中には、こんなシステムを作って欲しいという情報を自ら取りまとめた「提案依頼書」を作成して下さる方もいらっしゃいます。ただ、内容を見ると、

  • 〇〇を〇〇できるようにすること
  • 〇〇が〇〇の場合は〇〇となるようにすること

 のように、曖昧な要望の数々が述べられているに過ぎない文書が殆どでした。これではまだ、見積する上では不完全です。

  • 画面にはどんなボタンや表を表示するのか
  • それらをどのようなマウス&キーボード操作で、どのように取り扱うのか

 などなど、具体的な『動き』が見えないと、見積が大きくブレる場合が多々あるのです。

 『決定はEnterキー押下のみで良い』

 という要求と、

 『決定する場合は、対象のアイコンを決定トレイにドラッグ&ドロップする』

 とでは、工数が大幅に異なるからです。

 

 また、フォントやそのサイズ、罫線も曲者です。

 帳票を仕上げる場合、

 「やっぱり罫線は少し太くして」

 「やっぱりフォントは少し大きく、ここは太字にして」

 「無理にでもここに横の罫線を入れてもらわないと困る」

 などなど、フォームの見た目を調整するだけで数日を要する事もザラにあったります。何回も何回も、直しては確認し、直しては確認し・・・を繰り返す技術者は、この日本には沢山いるはずです。欧米の帳票には、縦罫線が少ない事からもわかるように、帳票に煩いのは、日本特有の文化らしいです。

 ただ、帳票に拘るなと言いたいわけではありません。相手を思い、綺麗な文書を差し出す事を心がけるという日本人の精神は決して、否定されるものではないからです。

 しかし、見積時は1フォームの実装がリスク込みで1人日、などと見積もっている場合、数フォーム程度であれば、サービス対応も可能ですが、規模が100帳票とかになると話は別です。1フォーム当たり1人日の見積誤差でも、合計は100人日以上となる訳ですので、私が経営する零細企業など一瞬で吹っ飛ぶようなインパクトを抱えています。そのリスクを見て、見積書に1フォーム当たり3人日などという明細を書いたとしても、納得して頂けるお客さまは皆無でしょう。

 

 つまり、システム開発という営みでは、

 

 開発が最終的に終了するまで、誰も全ての要求を把握できない

 

 と言えます。

 

 ですので、

  • 最初に作るものの要求から仕様を定めて、その価格を決め、
  • 請負のような形で定めた仕様通りのシステムを作り
  • 最後にそれを納品する

 というやり方をしている限り、誰もが納得できるシステムを作る事は絶対に不可能なのです。

 

 『だったら、どうすればいいの?』

 

 という訳で次回は、「失敗しないシステム導入の方法論」にフォーカスしていきたいと思います。

 

ここで、結論。

 使い手も作り手も納得できるシステム導入をするには、

  そもそも、今までの進め方をぶっ壊さなければならない。

 

 如何でしたでしょうか。

 システム開発が失敗する要因について、少しでも分かった気になって頂けたでしょうか。

 

 これからも、このような形でITネタを発信していきますので、ご愛顧のほど、よろしくお願い致します。